台風10号

 私には船の師匠がいて、岡本さんは太平洋より瀬戸内海の方がむいてるかもしれないと言われたことがある。47才、仕事もやっと軌道に乗って自らに趣味を解禁した時、ヨットの操船を教えてくれたスクールの先生だ。その時は何のことやらわからなかったがやっとわかってきた。

 このお盆に友が島水道を越えて和歌山沖に出た時、まだ来ないはずの台風10号のうねりが大きく、船が上下左右に揺れロープの上に足を置いたこともあり腰をついた。台風10号はずっと南にあるのだけど、先に波動が到達しているわけだ。うねりは波がたってなくても海面が大きく上下動する現象だ。友が島水道を越えると太平洋で発生した大きなうねりが時間をかけて次々とやってくるのと出会う。その悠久さにちょっと感慨にふけったりするのだが、以前、ここでひどい船酔いをした記憶が苦く蘇る。サーファーが待ってる伝説の大波も、災害をもたらす、つなみも、長期波動ということではみんな同じ類のものである。

 ヨットに関心を持ったのは小学生の時、堀江謙一氏の「太平洋ひとりぼっち」を読んでからだ。いつか太平洋に1人で出てみたいと思っていたがやはり自分には無理だった。実は、氏の本からもわかるのだが、難所は日本の近海だけで、太平洋はその名前がつけられたように大変穏やかな海なのである。太平洋に出てしまえば、台風にでも出くわさない限り、太陽と順風に穏やかな航海が保証された静かな海だ。かつて堀江氏を皮切りに、多くの日本人が世界に向けてヨットで出ていったが、みんな苦労したのは行き帰りの日本近海だ。そして、今私が乗っている相棒のヨットも、私のところにくるまでは有名なキャスターが保有していた船で、彼も太平洋横断の旅に出た数日後に生物にぶつかって遭難している。

 瀬戸内海は平均水深が38メートルの、浅いまるで大きな水たまり。ちょっと陸に近づくと私のヨットの喫水1.5メートルでぎりぎりのところが多くあって、海峡の近くにうねりは入ってくるものの、ほぼ小さなさざ波が押し寄せているといった感覚だ。師匠も、私が1人で乗るということと、拙い技量と性格(?)を考えての発言だったと思う。ハーバーで数々のヨットマンを見るが、やはり私などプールで遊ぶ程度の子供だなとつくづく思う。でも、船は大好きだ。乗るのも見るのも。これは少年時代から変わらない。

 エルセイフティは皆さまと未来を共有します。(代表:岡本)

 

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