駆逐艦 雪風

 太平洋戦争が終わり、もしも私が少年として玉音放送を聞いたなら、泣きぬれ心砕かれ、戦争からの解放も未来の希望も語ることはできなかっただろう(母は戦争が終わったことが何よりうれしかったと言っていた)でも、少年が、大日本帝国海軍の駆逐艦 雪風が、唯一、無傷で帰ってきたことを知ったら、また違う涙が紅潮する頬を伝ったことだろう。

 雪風は16回に及ぶ主要な作戦に参加した。ミッドウエーでは炎上する空母赤城を援護し、ソロモンでは連合軍空母エンタープライズの艦載機と交戦した。ガダルカナルでは、操舵不能となった旗艦比叡救出に、午前4時20分、僚艦のうち最も早く到着している。終戦間際、戦艦大和による沖縄特攻作戦においては、大和沈没による生存者100名を救出した後、なお、1隻による嘉手納湾への突入を目指した。が、駆逐艦司令艦である磯風大破による救助、雪風により自沈させるに至り、日本の帰還を余儀なくされた。奇跡の浮沈艦の誉れに、艦長の寺内中佐は「ただ幸運だったのだろう」と述懐した。所属は呉。江田島の旧海軍兵学校跡、海上自衛隊教育参考館の庭、解体後残された雪風の錨を私も見に行った。

 欧州では、新型コロナウイルスは第二次世界大戦以後最大の危機と語られ始めた。これから私たち日本も、感染症と世界経済の未曽有の嵐に巻き込まれ、「戦争」と向き合わざるをえなくなるだろう。そしてその「戦争」が終わった時、「無傷」のグループが残っていたなら・・・。顧客を見回しても「基礎疾患」たる「課題」の多さや「老齢」により「硬直」した会社が多い。ただ武運長久を祈りたい。私たちのグループは今現在あまり課題を抱えていない。しかし先行きは荒波だ。まずは私たちが、メンバ―を欠かすことなく「無傷」で帰還することを目指したいと切に思う。

 代表 岡本

 

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